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●2011年9月

昨年の9月25日、奈良県東大寺で日本におけるARMS DOWN ! キャンペーンの終了式典が行われました。また、同じく昨年の10月4日には、ニューヨークで世界におけるARMS DOWN ! キャンペーンの終了式典が行われました。いずれの式典においても、日本の政治指導者や国連を中心に活動される外交官などに、ARMS DOWN ! が呼びかけた核兵器廃絶や通常兵器の削減、そして国連ミレニアム開発目標の達成の要請を行いました。

 

あれから、1年を経ちましたが、ARMS DOWN ! が呼びかけたことは、どう国際社会に影響を及ぼしているのでしょうか。

昨年2010年の世界の軍事費は、1兆6,300億ドル(約138兆円)でした。2009年の時は、1兆5,310億ドル(約153兆円)でありましたので、1.3%の伸びになりました(ドルを基準)。しかし、全世界の軍事費の削減にはならなかったものの、この1.3%という伸び率は、2001年から09年まで平均して前年比5.1%だった世界全体の軍事費の伸びと比べて、最も少ない伸び率でした。確実に、軍事費拡大の流れは、2010年にブレーキがかかったと言えると思われます。また、最も軍事費が多いアメリカは、2011年度の会計から大幅な削減が開始され、今後も軍事費の段階的な削減がされるとのことであるので、これからは、全世界の軍事費削減が実現される可能性が高くなります。もちろん、世界の金融危機、アメリカの財政危機と関係していると思いますが、重要なことは、この削減分の資金が、貧困撲滅のために活用されるかどうかです。

 

本年7月、「国連ミレニアム開発目標報告2011」が国連より発表されました。それによれば、現在、国連ミレニアム開発目標は、「達成に向けた長足の進歩は見られるものの、全世界で最貧層が置き去りにされているため、2015年の期限までにすべての目標を達成するのは引き続き困難である」と述べております。初等教育や幼児死亡数の削減、マラリヤによる死亡者、HIV新規感染者数は着実な減少を見せている一方、最も弱い立場にある人々が置き去りになっていることを指摘しています。国連事務総長は、改めて、世界の指導者に目標達成に向けた一層の努力を促しています。

 

このようにARMS DOWN ! キャンペーンで呼びかけたことは、確実に、世界の指導者に届き、目標に前進がみられるものの、しかし、世界の現実は厳しくまだまだ目標への道のりは険しいのが現状です。

 

そして本年は、世界に大きな問題がおきました。東日本大震災。多くの尊いいのちが犠牲となり、自然環境、社会環境、生活環境が破壊されました。すでに震災から6カ月が過ぎましたが、今なおその爪痕はいたるところに残り、人々の心は癒えることはありません。

また、世界に目を向ければ、チュニジア、エジプトから始まり、リビアにまで広がったアラブ地域の民衆革命が起き、さらには、ソマリアでは戦後最悪の飢餓、貧困状況になっております。

 

こうした問題が、ARMS DOWN!キャンペーンを行った私たちに問いかけているものは何か、それに対して私たちはどのような視点や考えの基盤に立って向き合っていくのか、どのように社会に向けて発信し、また実践していくべきか――今後も宗教をもつ青年として継続して、こうした問いかけけを行っていきたいと存じます。

 

最後に、昨年2010年9月25日、奈良の東大寺で日本におけるARMS DOWN ! キャンペーンの終了式典の時に、庭野日鑛WCRP日本委員会理事長が、述べられた一節を、再び想起したいと思います。

 

以前、私は、『木を植えた人』という本を読んだことがあります。
フランスのプロバンス地方で、55歳になる男性が、ひとり黙々と、1日100個のドングリを植え続けていました。最初の3年間で、彼は10万個の実を植えます。そこから2万本の芽が出てきました。
第一次世界大戦、そして第二次世界大戦の中も、彼はひたすら植え続けます。そして数十年後、荒れ果てていた土地は、森と緑の野に変わり、水が流れ、美しい村が出来上がるという話であります。
本当に世の中を変えるのは、一人ひとりの人間による、粘り強い、無私の行為であることを思い知らされます。
私たちが目指す平和活動とは、そのようなものなのではないでしょうか。
まして「ARMS DOWN!」キャンペーンは、日本国内のみならず、世界の宗教青年と手を携えて展開したものです。世界中に、無数の実が植えられています。
皆さんには、それを見守り、生長を支えていく重要な役割があります。そして、平和の実は、これからも絶え間なく植え続けていかなければなりません。
Think Globally Act Locally』(地球規模で考え、足元から行動する)という言葉があります。
一人ひとりが、世界の恒久平和という衷心の願い、心の底に宿る願いを忘れることなく、それぞれの立場で、青年宗教者らしい歩みを重ねて頂きたいと思います。

 

シノハラ