6月12日、「日本経済新聞」に、アメリカのオバマ政権が、米国軍事費の大幅な削減計画を7月に発表されるという記事が載りました。2012年度から5年間で合計1兆ドル(約100兆円)を削減するとのことです。これは、1年間で考えると約2,000億ドル(約20兆円)を削減することになります。米国の2010年度の軍事費は6,600億ドル(約66兆円)と言われております。今後、この現状より年2,000億ドル少ない水準に抑え、5年で1兆ドルを削減する計画です。これらのことは、最大15万人いたイラク駐留の米軍を8月までに5万人に減らしたり、1機3億ドルのステルス戦闘機F22を生産中止にするなどの動きにもあわれております。
記事では、2001年の米国同時テロ以降に膨れ上がった軍事費が、アメリカの財政再建の足かせになっているとのことで、米政権がこの軍事費の大幅削減計画を判断したと述べております。当然、軍事力や軍需産業への打撃を懸念する国防族議員の反発が必至であり、さらに、日本を含む同盟国への安全保障の分担の要求も強まりそうだとのことです。
「核兵器なき世界」やこの度の「大幅な軍事費削減」など、前ブッシュ米政権と比べてオバマ米大統領はかなり積極的な軍縮を展開しています。もちろん、こうした決定は米国の国益追求や自国の安全保障戦略の一つであると思われますが、しかし、戦争の世紀と言われた20世紀の軍事力による安全保障という伝統的な考え方から、21世紀における新しい安全保障のあり方へ、オバマ大統領という新しいリーダーによって、強力に舵が取られているのではないかと考えます。当然、そうだからといって、この決定によって他の国々の軍事費が増えるようでは何の意味がありません。ARMS DOWNのめざしている目標のとおり、"全世界"の軍事費が削減されること、そして、その削減が、国連ミレニアム開発目標など人類の福祉に活用されなければなりません。
新しい安全保障のあり方、これは自分の安全は、他者の安全と連動しているという考え方、つまり他者が危険な状態は、自分も危険な状態であり、自分の安全は、他者の安全が確保されてはじめてなりたつという考えかもしれません。まさしく、「ARMS DOWN!共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」のもとになっているShared Security(共有される安全保障:共にすべてのいのちを守るため)の考え方です。この考えは、第8回WCRP世界大会(2006年、京都)で提唱されました。オバマ大統領の軍縮へのリーダーシップが、この新しい安全保障の考え方と同じ方向であると信じたいと思います。シノハラ