WCRPにとって軍縮問題への取り組みは、WCRP設立への根本精神となっております。それは、1969年、マハトマ・ガンジー生誕百年祭に関わる日米の宗教者指導者のWCRP創設へのきっかけとなった動きから始まりました。
そのころは、米ソの東西冷戦の真只中で、核兵器による全面戦争の脅威が深刻であり、また、ベトナム戦争も激化していた時期でした。この状況に対してガンジーの非暴力主義の重要性を認識した日米の宗教指導者が立ち上がり、平和のために宗教者としての使命を果たすために、WCRPが1970年に設立されました。
第1回WCRP世界大会では、非武装、軍縮問題が主要なテーマの1つとして設定され、以後この軍縮の問題は、すべての世界大会で討議課題として取り組まれています。また、1978年には第1回国連軍縮特別総会で、WCRPは国連NGOとして、米ソ両国首脳に核廃絶を訴えました。
さらに、1982年には、WCRPの平和使節団が、核保有国である米国、ソ連、中国、フランス、イギリスに訪問し、それらの国の首脳に核兵器使用の禁止申し入れを行っています。このように、軍縮問題への取り組みは、WCRPにとって活動の中核であったのです。
その後、現在までさまざまな軍縮への取り組みが行われております。
まず、WCRPは、国際的な諸宗教の連帯という特徴を活かし、軍縮へのアドボカシー(提言活動)を様々な国際会議の場で行ってまいりました。
(1)世界大会 http://www.wcrp.or.jp/wcrp/generalassembly.html
WCRPは、5年に1回、世界の宗教指導者が集い、平和への取り組みを議論する世界大会を開催し、世界の宗教指導者の共通の行動計画を採択しております。上述した通り、軍縮問題への取り組みは、1970年の第1回世界大会から2006年京都で開催された第8回世界大会まで、すべての世界大会において、最も緊急的で重要な討議課題として扱われてきており、大会ごとに採択される宣言文の中に盛込まれ、宗教者の非武装問題に対する意識啓発と行動を促進してまいりました。
(2)国連会議での提言
WCRPは、国連NGOとして、様々な国連の諸会議において提言活動を行ってまいりました。
① 国連軍縮特別総会での提言
1978年6月第1回国連軍縮特別総会:庭野日敬WCRP名誉議長
1982年6月第2回国連軍縮特別総会:H.A.ジャックWCRP事務総長
1988年6月第3回国連軍縮特別総会:J.B.テイラーWCRP事務総長
② 国連北東アジア金沢シンポジウムでの提言
1997年の第3回国連北東アジア金沢シンポジウムから、終了する第10回シンポジウムまでの開催支援ならびにオブザーバー参加
③ 他の国連軍縮会議への参加
昨今の日本国内の事例では、2006年第18回国連軍縮横浜会議、2007年第19回国連軍縮札幌会議、第1回国連北東アジアさいたまシンポジウム、2008年第20回国連軍縮さいたま会議、また海外においては、2005年NPT再検討会議、2006年~2008年NPT再検討会議準備会議、2008年クラスター弾禁止署名会議などに諸宗教の連合体として参画し、提言活動を行ってまいりました。
(3)G8サミットへの提言
昨今の事例では、2008年7月に開催されたG8北海道・洞爺湖サミットの際に開催されたWCRP主催の「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」があります。7月2日~3日に開催されたこの会議は、世界から200名の諸宗教指導者が参加し、北海道に集ったG8国首脳に非武装問題に対する諸宗教指導者の声を届けました。主に以下の内容の提言を行いました。
§ 核の全面的廃絶を目標として、核軍縮及び核不拡散政策の厳格な実施を追及する。核不拡散条約(NPT)第6条で定められているように、5つの核保有国は、可及的速やかに保有する核兵器を廃絶する責務を行動に移すべきである。さらにNPT未加盟の核保有国の可及的速やかな加盟を促す一方、核保有を認めていない保有国に対し核保有の事実を公表させるとともに、廃絶に向けて行動をとるよう促すべきである。
§ 包括的核実験禁止条約(CTBT)の速やかな最終批准と履行の後押しを行い、あらゆる種類の核実験の再導入に関わる行為を行わないよう要求する。
§ 国連安保理決議1540(大量破壊兵器の不拡散に関する決議)の実行に対し、G8諸国は引き続き積極的に指導力を発揮し、核物質の移送に対する管理及び拡散の抑止に取り組む。
(1)国際常設委員会
WCRPでは、軍縮問題に取り組むための諸宗教指導者による国際的なネットワークを構築しています。これは、WCRP軍縮安全保障常設委員会と呼ばれ、1998年に設立されました。委員長は日本の天台宗宗機顧問の杉谷義純先生です。世界的にみると60億人いる世界の人口の中で、宗教アイデンティティーを持ち、それぞれの宗教コミュニティーに属している人口は、48億人といわれております。この国際的な社会的基盤を駆使し、信徒、会員に対して、非武装問題への世論喚起を行い、また、この国際的な背景をもとに政策実現のための提言活動を行うためのものです。
この委員会を通して、主にNPT再検討会議やクラスター弾禁止署名などの国際的な軍縮問題への取り組みを行われております。
(2)日本委員会非武装・和解委員会
WCRP日本委員会では、1974年の第2回世界大会で採択された行動計画を実行するために、翌年、平和開発基金を設置し、平和への具体的な取り組みをスタートしました。そして、1984年のWCRP日本委員会の財団化に伴い、非武装問題を専門的に取り組むために非武装・和解委員会を設置し、これらの問題に対する宗教者の行動のあり方を研究、開発、実施することとなりました。現委員長は、本門法華宗大本山妙蓮寺貫首の松下日肆師です。現在、主に非武装問題に対して以下の活動を行ってまいりました。
①平和開発基金による支援
1998年から国連アジア太平洋平和軍縮センター、日本国連協会が主催の「北東アジア信頼醸成シンポジウム」に開催費用の一部を支援しています。本シンポジウムは日本、中国、韓国をはじめとする北東アジアを中心に政治・軍縮・安全保障、経済・開発協力、環境保護のための協力、文化交流などの多分野における対話の場を提供し、各国の軍縮・安全保障の専門家、政府関係者、学者、マスコミ関係者、NGO代表が自由な討議が行われました。
また、ニューヨークから国連における非武装・軍縮問題をウオッチし、各国の政策を分析している軍縮タイムズの発行支援もこの平和開発基金から支援が行われました。
② 宗教者に対する非武装問題の意識啓発
【平和のための宗教者研究集会「9.11と宗教者の役割」2002年3月30日浄土真宗本願寺派宗務総合庁舎開催】、【平和大学講座「北東アジアにおける平和の共創」2003年11月29日神社本庁大講堂開催】などの学習会や、出版物(例:平和問題シリーズIII『非武装・和解問題』2002年、「WCRP」会報)を通して、宗教者への意識啓発を行っております。
③ 各界との対話
非武装・和解への取り組みの一環として、秋葉忠利広島市長や石栗勉前国連アジア太平洋平和軍縮センター所長などとの各界の方々との対話を行い、非武装・軍縮活動の取り組みに対する宗教者の連帯を表明し、意見交換を行っております。
④8.6広島式典、8.9長崎式典における祈り
非武装・和解委員会では、毎年、夏に開催される8.6広島式典と8.9長崎式典に参加し、諸宗教の祈りを捧げ、犠牲者へのご冥福をお祈りするとともに、より一層の非武装問題への取り組みを誓っております。
また、2005年日本国際博覧会(愛知万博)では、心の中の武器をなくそうという目的のもと、祈りと瞑想のパビリオン出展し、来場者に非武装問題への啓発を行いました。
ARMS DOWNキャンペーンは、こうした流れの中で生まれてきた軍縮活動です。これまでご先達が築かれてこられたこの軍縮への活動を将来世代が引き継ぎ、戦争のない平和な世界を構築できるよう、ARMS DOWNをしっかりと進めていきたいと思います。シノハラ


