ARMS DOWN署名の協力を人にお願いする時に、よくARMS DOWNキャンペーンのメッセージの一つである、「全世界の軍事費の10%を削減し、2015年までに国連ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成するために使用すること」について、次のようなコメントを頂く時があります。
1つは、『これは、青年の諸宗教者が呼びかけるメッセージなので、「軍事費の10%」の削減などと政治家のように言わないで、「軍事費の100%の削減・軍事撤廃」と、青年らしく理想主義的に呼びかけたほうがよいのでは』と、この10%の削減が現実的すぎるのではとの声です。
もう一つは、全く逆で、「例えば、日本の場合、防衛費ということになるが、この日本の防衛費を1%を削減するだけでも大変である」ということで、この10%の削減は、非現実的で理想にすぎないのではとの声です。
この10%の削減の目標に関しては、WCRP国際青年委員会にて決定されましたので、その時行われた議論をもとに、私は答えるようにしています。
1つは、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成をめざすということが最も大事であるという点です。このMDGsは、2000年9月に189の国連全加盟国によって採択されたものですので、その時の国家首脳の方々は、このMDGsの達成が可能であるとの認識のもとで合意されたものと思われます。したがって、理想を追っている目標ではなく、現実的に達成可能なのものであると言わざるを得ません。そして、このMDGsの達成のために、年間約13兆円の先進国からの開発援助が必要とされるとの報告が、2005年に「国連ミレニアム・プロジェクト」から発表されました。この約13兆円の確保をどうするかということが課題です。
2つ目は、一方で世界の軍事費がここ10年間で45%上昇し、世界の軍事費の総額は約140兆円になっているという現実があります。軍事費が増長しているというのは、それだけ戦争がおこる危険性が高くなっているものと思われます。多くの方々が指摘している通り、貧困と戦争の関係は密接に結びついており、貧困があるから戦争が起こる、または、戦争が貧困を生じさせるということも言えます。こうした点から、MDGsに必要な約13兆円は、軍縮を通して確保することが重要であると考えました。そして、この13兆円は、全世界の軍事費140兆円の約10%の費用にあたるということがわかりました。
このように、軍事費の10%削減の根拠は、あくまでも全国連加盟国が現実に採択した国連ミレニアム開発目標のためであり、この費用を、軍縮を通して達成させようという考え方にあります。
ARMS DOWNキャンペーンのねらいは、軍事費の10%の削減ではありますが、当然、恒久的な平和と貧困撲滅のためには、軍事費の100%の削減・軍備撤廃も求め続けていかなければならないと思われます。
その意味で、この度のARMS DOWNキャンペーンの軍事費10%削減にこめられた願いは、「まずは、10%の削減を!」ということになります。まずは、ということです。シノハラ